金価格が過去最高に・・インフレにより一層高まる金需要
「金価格が過去最高に」
連日のように金価格高騰のニュースが飛び込んできますが、気づけば1g9000円を突破しています。
物価高に悲鳴を上げる中、金の需要が伸び続けています。そして1g10000円を超える日は来るのでしょうか?
伸び続ける金需要、20年前から10倍の価値に
2023年4月25日現在、金価格は9500円を突破しています(田中貴金属の店頭小売価格参照)。
1999年~2001年に金価格が1000円を下回っていた時期があった事を考えると20年ちょっとで10倍に跳ね上がっています。
短期的に価格が下落する事はありますが、長期的に見ると金価格はずっと上がり続けています。
金の強み
株や債券のように発行元の信用によって価値が変動する事がないのが金の強みです。
時計やネックレスなどの装飾品やパソコンスマホデジカメなどの工業用品にも金が使われており、金そのものの価値が0になる事はありません。
また金の埋蔵量は有限なので、20年後には掘りつくされて枯渇するかもしれないと言われています。
利子や配当金がないのがデメリットではありますが、防衛目的で資産分散をする時に向いているのが金の特徴です。
金が上がる時ってどんな時?
・地政学的リスクが高まった時
・インフレ時
・米金利が低下しドルが下落した時
・新興国による金の需要増
金価格はテロや戦争により世界情勢が不安定になった時に上昇する傾向があります。
またインフレによって物の価値が上がって現金資産が目減りしてしまう状況になった時に、資産を守る目的で金需要が高まります。
ドルの価値が下落した時にも金価格が上昇しやすい傾向があります。
このように金価格は様々な要因によって日々変動しています。
10年前にドルと金に資産分散させていたら
先ほど述べた通り基本的にドルが上がると金価格が下がりドルが下がると金価格が上がります。このようにドルと金は逆相関関係にあります。つまり短期で利益を得るというよりはリスクヘッジとしてドルと金両方を保有する傾向にありました。
【円高の民主党政権時代】
民主党政権時代にドル円は歴史的な円高局面を迎え、2011年は1ドル約80円、金価格は約1500ドル/トロイオンスでした。
この時にドルを5万ドル、金を1kg購入したとします。
【2011年の価格】
・5万ドル=400万円。
・金1kg=400万円。
計800万円です。
そして2023年現在では1ドル約130円、金価格約2000ドル/トロイオンスとなっています。
【2023年の価格】
・5万ドル=650万円。
・金1kg=950万円。
このように長期的に見ると逆相関関係とは違いドル、金それぞれが価値を上昇させた事によって、800万円で購入した資産が1600万円にまで膨れ上がった事になります。
2011年、歴史的な円高局面を機に円預金をドルや金に分散させた方は少なからずいるのではないでしょうか。
積極的な資産の分散が近年のインフレによる資産の目減りを回避する事へと繋がっています。
1g1万円を超える日はくるのか
連日「金価格が最高値を更新」とのニュースが流れていますが、1g1万円を超える時代は来るのでしょうか?
今後円安が進み1ドル140円以上になるといった事態になると円建て金価格はさらに上昇するかもしれません。
しかしながら金の基本的な通貨単位である米ドル建てでみると、過去最高値である2069ドル(2020年8月6日)にはまだ到達していません。
この事から一時1万円を超える事はあるかもしれませんが、それは為替相場の変動によるもので一時的であるともいえます。
ただしドル建てでも金価格は2001年から上昇を続けているので長期的に見れば非常に安定した資産と言えるでしょう。
近年インフレにより目減りしていく資産への不安が叫ばれる中、円預金を分散させて資産を守る事ができる「金」がより一層注目されています。