【競馬】ストライキの歴史
競馬におけるストライキの歴史を解説。
1974年4月
中央競馬は2回中山・阪神の7日・8日開催が中止となりました。
このストライキにより
・皐月賞:中山4月14日(日)から東京5月3日(日)
・天皇賞:4月29日(月)から5月5日(日)
にそれぞれ順延となりました。
影響のあった有名馬
キタノカチドキ
1974年、デビューから快進撃を続け無敗の皐月賞馬となったキタノカチドキですがストライキの影響で3日間馬房に閉じ込められる事態が生じ、さらにいつレースが開催されるのか分からないまま毎週強い追い切りが行われたので皐月賞後に疲れが出てしまいます。
そして5月26日に行われた日本ダービーでは勝ち馬から1馬身差の3着に敗れ初黒星。
その後は神戸新聞杯、京都新聞杯とトライアルを2連勝した後菊花賞を優勝し2冠馬となりました。
不測の事態がなければルドルフより先に無敗の三冠馬が誕生していたかもしれないので、このストライキの影響を最も受けた馬と言われています。
1976年4月
このストライキにより
・皐月賞:4月18日から4月25日
に順延となりました。
影響のあった有名馬
トウショウボーイ テンポイント
トウショウボーイはデビューから3戦全て3馬身以上の差をつけての圧勝、そしてテンポイントは5戦5勝の無敗馬。
きたる4月18日、皐月賞で初めて顔を合わせる両雄の闘いは「TT決戦」と呼ばれ注目を集めます。
しかし厩務員労組の労働争議のため4月18日に予定されている皐月賞の開催が危ぶまれる事態に。
両陣営はいつ開催されるか予想しながら調教の負荷を考えなければならず、テンポイント陣営は予想した開催日に合わせた調教が全て裏目に出る形となり調整に狂いが出てしまったため皐月賞ではトウショウボーイに5馬身差をつけられ2着に敗れています。
このストライキでは2回中山・阪神の7日・8日開催、および3回東京・京都1日開催が取りやめとなっています。
1980年4月
4月19日、厩務員組合の労働争議のため中央競馬の2回東京・1回新潟のそれぞれ1日・2日開催が中止となりその開催分は4月30日と5月9日に代替開催されました。
なお前回1976年のストライキにより皐月賞が順延になった時に競馬ファンから批判の声が多数あった影響もあり、この年はG1が中止になる事態は避けられています。
1999年4月
厩務員ストライキにより4月3日(土)の中山、阪神、中京の競馬開催が中止となりました。
交渉が長引くと4月11日(日)の桜花賞開催まで危ぶまれましたが、4月8日に交渉がまとまり無事開催される事となります。
なおこのストライキで阪急杯が4月10日に順延となっています。
2023年、24年ぶりのストライキ
JRAの厩務員、調教助手などが組織する4労組が日本中央競馬会(JRA)と日本調教師会に対して2011年から導入されている賃金体系の廃止を求めストライキ通告を行いました。
【2011年から導入されている賃金体系とは】
競馬売上が低迷していた時代に人件費削減のため2011年1月1日以降に採用された厩務員の給料について基本給20%カット、勤続手当の支給廃止、といった変更が行われました。
事実1997年に年間4兆円を超えた売上金は翌年の1998年から急速に下降していき2011年に2兆3000億円まで落ちてしまいます。
しかしそこから徐々に盛り返し2022年には3兆2500億円にまで回復しています。
見事なV字回復を果たした競馬人気。最近ではその恩恵もあってレース賞金や手当なども軒並み増額していますが、それならば厩務員についても2011年以前の給与体系に戻してくれ!というのが労働組合の主張です。
【3月18日にストライキ解除の通告】
ストライキに突入していた関東労、関西労、美駒労の3労組は、19日のストライキを解除することを通告しました。
交渉に進展があったのかは不明ですが、労組側が折れるという形になり18日、19日の競馬開催は通常通り行われる事となりました。
最終的に今回のストライキでは競馬開催の中止は避けられるという結果になりました。